鎌倉街道上道裏返し 八高線明覚駅から都幾川沿いで慈光寺へ

2023年5月4日(木)晴れ 明覚駅~都幾川沿い~少し山登り~都幾川沿いの県道~慈光寺~霊山院~慈光寺川沿い~明覚駅 17キロ位 末尾に地図を掲載

■慈光寺観音堂 

1803年再建の観音堂、平成5年から4年かけて本尊の千手観音とあわせて修復が行われた。千手観音に関わる欄間彫刻が施され、屋根の張り出しの大きいなかなかお金と技術のかかった建築だ。江戸に入り百石の所領があった寺なのでそれなりの経済力はあったはずだ。慈光寺は直接に鎌倉街道とは関係ないが、神流町の緑野寺跡で道忠のことを知り、その道中が創建したお寺ということになる。今回はスピンオフといったところだ。ただ寺に行けば、源頼朝の奥州征伐の必勝祈願の書面も残り、1200町歩もの財源を賜っているので鎌倉とも縁の深い寺である。

■明覚駅から都幾川沿いに

都幾川は慈光院のある都幾山を源流としていることから名づけられたようだ。トキは斎から来ていて、清める意味があるようだ。荒川水系で、川島町で槻川に合流する。

ときがわ町は観光に力を入れていて、川沿いの遊歩道が整備されていてウォーキング用に手書きの案内を地図にした看板が橋毎に設置されていた。田舎の景色は高架線等で意外に煩わしい所もあるのだが、ここの景色には夾雑物が混じらないで心地が良い。

■川遊びと温泉

町営のグランド脇からは川遊びが出来るようになっている。小さな子供たちが川の中を歩いている姿は微笑ましい。飛び石で渡河できるのも楽しい趣向だ。ただ民間に運営を委託しているのだろうか、三波渓谷に近づくとバーベキュー場になっていて川沿いを歩けなくなる。段丘上には日帰り温泉施設が鎮座しており、歩く人にとっては反対側の県道に登るか、温泉施設側の山越えをしなくてはいけない。山越えをしたが、結局は人の家の庭を横切る形になりばつが悪かった。

■慈光寺参道

慈光寺は修行の場であったので女人禁制である。女人堂(女性はここまで)から先を少々急なアスファルト道を登ってしばらく行くと山に入る参道入口の道標がある。登れば熊野古道かと思う世界になる。途中で車道に出たら青石塔婆が並んでいた。

再び山に入る。所々にある井戸を眺めていく。登りきると少し平地が広がっていて寺の入口になる。1556年に造られた開山塔が覆堂の中に格納されているが、国内唯一の室町時代の木製宝塔になる。昭和39年の解体修理の際に、基壇のしたから火葬された人骨が入った須恵器が出てきたのだが、以前より創建道忠の墓の上に建てられたという口伝えがあり、本当かどうか?寺に伝わるところによると、開基は673年の慈訓、680年に役小角が修験道場を開いたとの事。道忠の創建ということになると鑑真の死後になろうかと思うので763年以降か?それにしても673年は下野薬師寺や山之上碑より古いのだから、何故ここにということになる。

開山塔前の景色

■慈光寺

寺の入口には鐘撞堂がある。この銅鐘は物部重光という鎌倉の大仏の造営や建長寺の梵鐘(国宝)を造った人の制作で重要文化財である。鐘楼は昭和60年の火災で焼失している。

重文 銅鐘

青石の階段を登ると山門に至る。山門は質素だ。

山門の先には宝物殿がある。誰もいないけれど料金500円を箱に入れて、自分で照明をつけて見学する。撮影は禁止なので写真は無い。今回訪れた最大の目的はここの国宝のお経と、神流町の緑野寺跡で忠一派が写経したと伝わるお経とどう関係があるのか確認したいということだった。結果、国宝のお経は藤原良経の急逝で藤原兼実一門が1270年に書写したものが何故かここにあるというもので緑野寺とは全く関係がなかった。後鳥羽上皇も関わっていた可能性もあり、装飾が非常に美しいお経である。(ガラスケースに一巻見本があったが本物だろうか?)逆に重文のお経が871年の奥書で関東最古の写経とされる。上野国、役人の安部小水磨昌の書写とまで分かっているので、道忠一派とのかかわりを調べてみたいものだ。

宝物殿から順路に従い登ると観音堂だ。

観音堂の内側を覘くと白馬が吊り下げられていて驚く。これは左甚五郎作(江戸後期だろうが)と伝わり、出来栄えが素晴らしく馬が夜な夜な畑の作物を荒らすので、農民が怒って観音堂にくくりつけられるという顛末の話が伝承されているようだ。さて、最後に板碑である。これは須黒氏が1205年に北条のだまし討ちに合った畠山重忠親子を供養するために1262年に造られたもの。1879年に折損倒壊しているのが発見されて補接されたが、再び折損となり1993年に小川町の緑泥片岩の象嵌仕上げで復元され、この地に大切に保管されたとのこと。最後は鎌倉街道を代表する武将畠山重忠とつながり実にめでたい。

<付録 この日撮影の花々たち>

春だなあ。少し暑いくらいだ。下りの慈光川沿いにも花がたくさん咲いていました。

<経路地図>

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