浦和から高崎まで輪行して南下するかたちで鎌倉街道を辿ることにした。今までと逆方向で、芳賀さんの探索の旅とも逆になるのでルート確認等の事前準備が大変であった。回文のようだ。回文はよっぽど頭の良い人でないと対応できないから、逆ルートで予習すると自分は正直頭が混乱するばかりであった。自転車はダホン。
①高崎~山名~古墳群~②鮎川~神流川~神川町~児玉
■高崎
さて、高崎である。田舎が新潟だから新幹線(昔は電車だ)だろうが、車だろうが必ず通過点となるので、馴染みの場所ではあるのだがよく考えてみると「高崎で何かをした」という経験は全くない。あくまで通過点だったからである。駅からみる風景や、高速からの風景で「乾いた街」という印象がある。上州のからっ風から来るイメージもあるかも知れない。ちなみに前橋は利根川沿いの桜を見に来た経験もあり、印象は悪くない。県庁が余りに立派で腰を抜かしたが。
■市内も古道らしさ満載
琴平神社 道祖神
高崎駅を降りてメインストリートで真っ直ぐ市役所方面に向かう。市役所は城址公園と一体化している。途中鍛冶町で左折し、佐藤病院前の道を進む。古道筋はこの病院の西側を通っていたようだが消えている。そのまま昔ながらの住宅地の中を進むが、右手西側は烏川で、この道が古道の法則通り段丘の上側を通っていることが分り、対岸の景色も良い。17号バイパスの上を渡り城南緑地となる。ここの入口に鎌倉街道の碑がある。バイパスを再び橋で渡ると右手に琴平神社が。こんもりとした古墳の上に神社があり、天狗が迎えてくれる。細道で上越新幹線の高架下を潜る。まさかいつも利用している新幹線の下を古道筋が走っているとは思いもよらなかった。
道標
そのまま進めば、秩父街道の道標や男女僧形の道祖神があり古道らしさを醸し出す。古道らしい道筋が続く。その先には万葉歌碑で、ここは「佐野の渡し場」であったようで歌は烏川を挟んだ男女が親の反対で心中したというものである。
■いざ鎌倉!
常世神社鳥居 常世神社
定家神社 烏川
そして最も鎌倉街道らしいのは常世神社である。「いざ鎌倉」で有名な謡曲「鉢の木」の舞台で、なるほど執権北条時頼もここに泊まったのかと感慨が深い。小学校の教科書にも出ていた覚えがあり、鎌倉街道沿いに住んでいれば確かに鎌倉に駆けつけやすいのは道理である。なお、佐野源左衛門常世は佐野の唐沢山城の城主となったそうだ。ちなみにこの小さな神社のすぐ脇は新幹線の高架で、さすがに避けて作ったのだろうかと思わせる。この先には江戸の建立ではあるが定家神社で境内に古墳があり、芭蕉の句碑もある。 再び新幹線の高架を潜り、一本松橋で烏川を渡る。烏川の三名石と言われる神籠石は残念ながら発見できず、高崎商科大を左手に曲がり山名を目指す。途中は細道で庚申塔等も目に付いて古道筋らしい。
■山名
山名八幡鳥居 線路を潜る
山名八幡
一旦幹線に出て進むと山名八幡の鳥居がある。ここを進むと高崎自然歩道になり、山名城跡や山上碑や山上古墳もあるようだが次回の課題とし、上信電鉄の線路を潜って山名八幡宮に詣でる。この光背の山の側に古鎌倉街道が通っていたとの説も根強い。神社前には何とおしゃれなカフェもあり、自然道とあわせ地元の行楽地になっているものと思われる。 ここから先は古道筋がはっきりしない。幹線を進み、鏑川を鏑川橋で渡る。本来の古道筋は直進で古墳群に向かう道筋の、この橋の西側のようだ。橋の上からの景観は大変良い。
■さあ、古墳群へ まずは伊勢塚古墳から
伊勢塚古墳
石室入口 石室内
渡ってしばらくして右折すると昔ながらの集落に迷い込む。街角には庚申塔や馬頭観音が当たり前に存在し、幹線沿いの巨大駐車場のコンビニの裏にこんもりとした森があり、これが伊勢塚古墳だ。田圃の真ん中の細い道を通って到着。行田の古墳群も見ているが、これもなかなか立派で、保存状態も良く石室の中も見学できる。
■桜の時期に再び来よう 七輿山古墳
七輿山入口 七輿山古墳
五百羅漢 上部からの景色
先の道に戻り幹線を渡ると、今度は七輿山古墳の案内があり、こちらは観光バスも立ち寄るような気配である。実際に進んで目にする光景は、大きい古墳で行田に負けないくらいだ。登れば五百羅漢もあって首の取れた石像が並んで見もので、古墳の大きさも実感できる。古墳には樹が植えられて森のようになっているが、樹は桜で、春には周囲の緑の光景と相まってさぞかし素敵な風景になるのだと思う。
■夢のような風景が続く
一号古墳 藤岡歴史館
白石稲荷山古墳 上からの景色
この先の丘陵を登っていけば古墳が続き、一号古墳、皇子塚古墳、白石稲荷山古墳が連なる。先のいざ鎌倉ではないが、この古墳群の中を武士たちが馬で駆け抜けて行った光景を想像するとまるで夢のようである。途中には藤岡の歴史館があり、寄れば解説を加えてくれるのだろうが、残念ながらそうした時間は無く先を急ぐ。
しかし、葱畑に半分うずもれた道標を見つけたり、その先で花の絨毯が広がった光景に出会ったりと結局足を止めてしまうのであった。
<経路地図>