武田氏と吊るし柿 2023・11・18

高尾発7:39発の普通列車に乗る。本当は飲み物と、見つけたお菓子の自販機で食料補給といきたかったのだけど、乗換客で席がすぐに一杯になりそうで慌てて席を確保する。電車の中は暖房が効いていなくて寒い。動けば暖房がされるのかと思えば結局そのままであった。ネットで見ると甲斐大和駅そばにはセブンイレブンがあるので、それまでの我慢と食料は諦めた。駅について降りると、駅前には何もない。エッと思ったが少し先にセブンの置き看板がある。進めばこの駅のすぐ先は甲州街道(国道20号)で、コンビニはそこに面していて一息ついた次第である。

■武田家終焉の地、景徳院へ

景徳院山門 当時のままの建築である

勝頼は愚将と言われる場合があるが、大きな間違いである。地道に戦国武将として活躍して、親から受け継いだ領土を確実に拡大した。惜しむらく、天下統一という方向から外れていたことだろう。内部の結束という意味では4男ということもあり、当初から跡取りとされていなかったことから力が弱かったがこれは体調が悪いにも関わらず、後の手配を怠った親の責任である。

隆盛を極めた武田氏であるが、その最後はあっけなかった。写真の没頭地蔵は勝頼、北条夫人、息子信勝の3人の胴体が埋められていたところである。現代でもそうだが、戦国期はいかに勝馬に乗るかというのが武士道の根幹だったようだ。進退きわまった勝頼は日川渓谷沿いに天目山栖雲寺を目指したが、地域の人に拒まれて景徳院のある「田野」の地での滅亡を覚悟する。織田方の滝川一益との合戦のあとに自害したのである。

自害の際に首を落とされた石が「生害石」として残っている。北条夫人は19歳で北条家に戻るように説得されたようであるが、勝頼と共にしたのである。北条の娘は義理堅いのであろうか、今川氏真の夫人も実家に戻れと言われても最後まで夫に従った。(こちらは幸いにして生きながらえたが。)まあ、氏真も愚将といわれているが、教養や身体能力では戦国大名の中でもTOPクラスだし、勝頼も同様であったから、女性には好かれて夫婦の絆が深かったのかもしれない。しかし、こんな石の上で19歳でにして首を落とされたかと思うと哀れさを感じずにはいられない。

■恵林寺

塩山から温泉街を抜けて徒歩で。武田信玄の菩提寺で、信長勢に火を放たれたが、信長の死後(本能寺)に徳川家康により再興されている。一番奥の山門には「心頭滅却すれば火も自ずから涼し」の文言がある。これは火に包まれた快川国師が残した言葉とのこと。

拝観料500円を自販機で払う。十分に元は取れます。

庭は夢窓国師による。

■岩波農園の吊るし柿

ここは吊るし柿を販売していて、よく写真になっているようだが、なるほど家の前が空地になっていて日当たりも良く写真も撮りやすい。1個300円の大きめの釣り柿を6個買った。甘いけど、こうした甘さなら太らないのかなと思う。(甘いか?)恵林寺のバス駐車場のすぐ脇にある。

■KIZAN WINE

恵林寺近くの機山洋酒工業。ワイナリーではないので残念ながら試飲はできなかった。ベーシックな赤ワインのブドウ種が「ブラッククィーン」という聞きなれない品種だったので、聞いたら赤玉ポートワインのブドウとのこと。この辺でもここだけで、昔はサントリーに卸していたとのことだ。結構扱いが難しいので、だいたい周囲はベリーAになってしまったとのことだった。上品な奥さまのご説明で、ご自宅の吊るし柿を撮影させていただいた。

先客は30台くらいのキャリア女性らしき2名でタクシーを呼んでいた。私がバス停のことを聞いていたせいだろう、「駅までだったら、よろしければご一緒にいかがですか」と声をかけていただいた。もう少し撮影をしたいのでと感謝しながらお断わりしたが、正直嬉しかった。良いカメラと、きちんとしたアウトドアの服装の勝利だろう。

■番外編:財布を拾う

お蕎麦屋さん

景徳院訪問の後に、日川渓谷を少し上流に歩いた。少し勝頼たちの気持ちをなぞってみたかったのだ。ところが下りの対抗の車の窓からゴミが投げられてむっとした。結構大きいので近づいてみるとなんと財布だ。開けてみれば現金は少額だが、健康保険証、運転免許証、キャッシュカード等がぎっしりだ。町田在住の若い方。さて、どうしたものかと思うが戻ってくる可能性もあると思い、しばし佇んでまった。10分位か。しかし来ない。思案の挙句、下ったところに蕎麦屋さんがあったのでそちらに相談した次第である。結局そちらから駐在さんに電話をしてもらい取りに来てもらうことになり、やれやれとなる。ご親切にしていただきたいへん助かりました。本当は蕎麦も食べたかったけれでまだ準備中でした。今回は農園やワインといい会話の多い旅でした。恵林寺のバス停でも、煙草を吸いに来たオジサンと長々とおしゃべりしたし。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です